SDGsの目標「つくる責任、つかう責任」を知っていますか? 日本では、まだ食べられるのに捨てられる食品ロスが年間612万トンも発生しています。これは、世界で飢餓に苦しむ人々に向けた食糧援助量の約2倍に相当します。
なぜ、豊かな日本で食品ロスが問題となり、世界では飢餓が起こるのでしょうか? この一見矛盾する2つの問題は、実は複雑に絡み合っています。結論からお伝えすると、フードロスが以下のような飢餓問題の原因を生み出すからとまとめることができます
- 原因①|食料資源の浪費から
- 原因②|食料価格の高騰するから
- 原因③|社会的不平等が生み出されるから
本記事ではこれらの内容を国連の「飢餓と食品ロスに関する、5つの事実」を元に解説していきます。
- 「飢餓問題」の原因の一つである「食品(フード)ロス」
- 食品(フード)ロスが飢餓を生み出す原因
- 食品(フード)ロスと飢餓問題への対策
また、NPO法人MOTTAIでは、食品(フード)ロス削減の取り組みとして廃棄になりそうな食材を調理して食べる「モッタイNight」を行っています。毎月開催していますので、興味を持っていただいた方はぜひご参加ください。
「飢餓問題」の原因の一つである「食品(フード)ロス」
ここでは飢餓問題「飢餓問題」の原因の一つである「食品(フード)ロス」について解説していきます。そもそも、世界で飢餓問題が深刻化する原因は多岐にわたりますが、主な要因として、貧困や自然災害、紛争、食品ロスが挙げられます。
その中の一つとして、食品ロスが存在しています。まだ食べられるにも関わらず、様々な理由で廃棄される食料が存在し、食料資源の有効活用が妨げられている状況が発生しています。
食品(フード)ロスの現状
世界で栽培、生産された全食品のうち約40パーセントに当たる25億トンの食品が年間で廃棄されていることが分かっています。※引用元:「Driven to Waste」|GLOBAL FOOD LOSS ON FARM
また日本財団が上記の資料から作成したグラフをみると半分以上は生産段階と消費の段階で廃棄されていることがわかっています。
引用元:世界で捨てられる食べ物の量、年間25億トン。食品ロスを減らすためにできること
また、日本国内でも年間523万トンもの食料が廃棄されており、これは国民一人一人が毎日お茶碗一杯分の食料を捨てている計算になります。
飢餓問題の現状の現状
一方で、2022年の調査では、世界の約8億2800万人もの人々が飢餓に直面しています。国連は、「飢餓と食品ロスに関する5つの事実」として、以下のような事態が起こっていることを指摘しています。
その1:世界の食料生産量のうち3分の1が廃棄されている。
※引用元:飢餓と食品ロスに関する、5つの事実
その2:食べられずに捨てられた食料は世界の20億人分に及ぶ。
その3:世界中で食料廃棄によって発生する二酸化炭素の量は、アメリカと中国に次ぐ3番目の排気量となる。
その4:先進国の食品ロスの量は、サブサハラアフリカ地域の食料生産量に及ぶ。
その5:開発途上国の食品ロスの4割は、収穫後と加工の段階で発生する。一方で、先進国では食品ロスの4割以上が小売と消費の段階で発生。
これらの飢餓と食品ロスに関して起こっている事実について我々は、まず目を向ける必要があります。
食品(フード)ロスが飢餓を生み出す原因
では、なぜ食品(フード)ロスが飢餓を生み出すのでしょうか?その原因として以下の3つの論点があると考えられます。
- 原因①|食料資源の浪費
- 原因②|食料価格の高騰する
- 原因③|社会的不平等が生み出される
以下でそれぞれ詳細に解説していきます。
原因①|食料資源の浪費
世界で生産される食料のうち、約3分の1が廃棄されていると言われています。これは、飢餓に苦しむ人々全員を養える量に相当します。それだけ、先進国での食糧資源の浪費が進んでいます。
食品ロスは、生産、加工、流通、消費の各段階で発生します。生産段階では、規格外の野菜や果物が廃棄され、加工段階では、製造過程で生じる端材や売れ残り製品が捨てられます。流通段階では、賞味期限切れや輸送中の破損により、多くの食品が廃棄されます。そして、消費段階では、食べ残しや過剰な買いだめなどが食品ロスにつながります。
このように、大量の食料資源が無駄に廃棄されることで、世界全体の食料供給が減少し、飢餓問題を悪化させています。
原因②|食料価格の高騰する
食品ロスは、食料価格の高騰にもつながります。食品ロスが増えると、供給量が減少し、需要と供給のバランスが崩れるため、価格が上昇します。
特に、穀物や大豆などの主要な食料は、世界的に価格が連動しているため、ある地域での食品ロスが、他の地域での価格高騰を引き起こす可能性もあります。
食料価格の高騰は、貧困層の人々にとって、食料へのアクセスをさらに困難にします。収入が限られている人々は、高騰した食料を買うことができず、飢餓に陥るリスクが高まります。
原因③|社会的不平等が生み出される
食品ロスは、社会的不平等を深刻化させる要因でもあります。先進国では、大量の食品が廃棄される一方で、発展途上国では、食料不足に苦しむ人々がいます。
この食料格差は、貧困と飢餓の悪循環を生み出します。食料不足は、人々の健康を損ない、労働能力を低下させ、貧困を深刻化させます。そして、貧困は、食料へのアクセスをさらに困難にし、飢餓のリスクを高めます。
食品ロスは、この悪循環を加速させる要因の一つです。食品ロスを削減し、食料資源を有効活用することで、食料格差を是正し、社会的不平等を緩和することができます。
食品(フード)ロスへ家庭でもできる飢餓への対策
相反する存在のように見えるフードロスと飢餓ですが、実は多くの繋がりがあることが分かりました。日本では、一年間に523万トンものフードロスが発生しており、その中で家庭が占める量は244万トンにも上ります。私たち一人ひとりがフードロス削減に努めていく必要があります。
- 対策①|飢餓問題に取り組んでいるNGOに寄付
- 対策②|フードバンクへの寄付
- 対策③|SDGsに取り組んでいる企業のフェアトレード商品を買う
対策①|飢餓問題に取り組んでいるNGOに寄付
世界には、飢餓問題の解決に向けて活動しているNGOが数多く存在します。これらの団体に寄付をすることで、食料支援や農業支援など、様々な形で飢餓に苦しむ人々をサポートできます。
寄付先は、活動内容や支援地域などを参考に、信頼できる団体を選びましょう。
対策②|フードバンクへの寄付
フードバンクは、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品を、必要としている人々に届ける活動を行っています。
家庭で余ってしまった食品や、賞味期限が近い食品などをフードバンクに寄付することで、食品ロス削減に貢献し、同時に飢餓に苦しむ人々を支援できます。
- フードバンクとは、安全に食べられるのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で、流通に出すことができない食品を、企業などから寄贈していただき、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動
対策③|SDGsに取り組んでいる企業のフェアトレード商品を買う
SDGs(持続可能な開発目標)の目標2「飢餓をゼロに」は、飢餓と貧困の撲滅を目指しています。SDGsに取り組んでいる企業のフェアトレード商品は、生産者への適正な賃金の支払いや労働環境の改善など、持続可能な社会の実現に貢献しています。
引用元:フェアトレードミニ講座|fairtrade japan|公式サイト
これらの商品を選ぶことで、間接的に飢餓問題の解決を支援できます。
- フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」
- つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」
まとめ
フードロスと飢餓に、こんなにも深い関連があるとは驚きでした。
飢餓問題について、自分に何かできることはないかと考えたとき、私たちが日々の生活の中で生み出してしまっているフードロスを削減することが大切だと気づきました。フードロスを減らすことは、飢餓を減らすことにつながります。
この機会に、「つくる責任、つかう責任」について改めて考えていただければ幸いです。