年間約532万トンの食品ロスが発生している日本。そのうち、約44%は家庭から排出されています。つまり、私たち一人ひとりが意識を変えることで、食品ロス削減に大きく貢献できるのです。
この記事では、家庭で発生する食品ロスの原因と、個人や子供でもできる対策を詳しくご紹介します。また、この記事を読む事で以下の内容について知ることができます。
- 食品ロスが発生する原因について理解できる
- 食品ロスが引き起こす問題について理解できる
- 家庭での食品ロスをなくすための対策がわかる
ぜひ最後までお付き合いいただけると幸いです。
食品(フード)ロスに家庭が占める割合
食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食べ物のことです。日本では令和3年度に約523万トン発生しています。
下図の通り、家庭と事業者からで半々程度の食品ロスがでているのです。これは国民1人あたり毎日ご飯茶碗1杯分を捨てている計算です。いつの間にかこんなにも捨てているのか、と驚きですよね。毎日意識して、食品ロスを減らしていきたいものです。
▼出典
・環境省 環境再生・資源循環局リサイクル推進室 ホームページ
- 本来食べられる食品が捨てられてしまうこと
家庭の食品ロスが引き起こす問題
問題①|温室効果ガスの排出
食品ロスは温室効果ガスの排出につながります。廃棄される食品は、焼却や埋め立てなど処理されます。そのどちらも温室効果ガスを発生させます。
・焼却:食品を燃焼させると二酸化炭素が排出されます。二酸化炭素は地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスです。
・埋め立て:食品が埋め立てされると、分解過程でメタンガスが発生します。二酸化炭素よりも強力な温室効果ガスです。
環境省によると食からの排出は全体の11%を占めるという報告もあります。
食品ロスを減らすことで、環境問題にも貢献できるのです。
▼出典
・環境省HP
問題②|水資源の浪費
食品を生産するには大量の水が必要です。農林水産省によると、世界の水使用量の約7割が農業に使用されています。食品ロスになるとその生産に使用された水も無駄になります。
例えばトウモロコシ1キロを生産するには1800リットルの水が必要です。つまり、トウモロコシ1キロが廃棄されると、1800リットルの水が無駄になるということです。
水資源は限られた資源であり、近年は水不足が深刻化しています。食品ロスを減らすことは、水資源の保全にもつながるのです。
問題③|森林伐採
食品の生産において、森林伐採が行われています。農地や牧場の拡大のためが主な理由です。農作物を育てるためには多くの土地が必要なのです。
食べ残しは、必要以上の森林伐採に繋がっています。生物多様性が失われたり、地球温暖化の原因になっているのです。
食品ロスを減らすことで、食糧生産に必要な農地面積を削減することができます。ゆえに森林伐採を抑制することができるのです。
問題④|飢餓問題
世界には、飢餓に苦しむ人々が数多くいます。農林水産省によると8億人存在します。一方先進国では多くの食料廃棄がされています。必要以上に食料輸入を行うことは輸出国の資源枯渇につながります。生産国での飢餓が増えてしまう原因ともなっているのです。
食品ロスを減らすことは、飢餓問題の解決に貢献することができます。廃棄される食品を有効活用することで、より多くの人に食料供給ができるのです。
▼出典
・農林水産省HP
問題⑤|経済損失
食品ロスは、生産、加工、流通、販売に関わるすべての過程で経済損失となります。
消費者庁によると、食品ロスによる日本の経済損失は4.3兆円です。これは市場規模でいうと、農林漁業12.4兆円の3分の1に匹敵します。
食品ロスを減らすことは、食料関連企業の利益増加にもつながります。また、政府にとっても廃棄物処理費の削減などのメリットがあります。
食品ロス削減によって、多くの人がwin-winとなる世界が目指せるのです。
▼出典
・消費者庁HP
問題⑥|ごみ処理費の増加
食品ロスは、ごみ処理費の増加にもつながります。日本では廃棄された食品は可燃ごみとして処理されています。ゴミの処理にはお金がかかります。
食品ロスを含む一般ごみの処理費用は、環境省によると年間2兆円以上かけています。
食品ロスを減らすことで、可燃ごみの量を削減し、処理費を節約することができるのです。
▼出典
・環境省HP
家庭で生じる食品(フード)ロスの原因
毎日約お茶碗一杯分の食品ロスがなぜ発生してしまうのでしょうか?その原因を知ることができれば、フードロスへの対策ができるようになります。結果として、食品ロスを減らすことができるでしょう。
主な原因について3つご紹介します。
- 原因①|食べ残しをしてしまう
- 原因②|期限切れになるまで放置する
- 原因③|過剰に食物を除去する
原因①|食べ残しをしてしまう
必要以上に食べ物を用意してしまうことが、食べ残しをしてしまう原因につながります。この原因として、以下のような2点が挙げられます。
- 理由1:体調やキャパシティの確認不足
- 理由2:食べる人数の確認不足
食欲がない時や体調が悪い時に、普段と同じ量を用意してしまうと、食べ残してしまう可能性が高くなります。最近食べている量や、その日の体調などを考慮せずに、いつもと同じ量を用意してしまうと、食べ残してしまう可能性が高くなります。
実際よりも多くの人数が集まることを想定して、必要以上に食べ物を用意してしまうと、食べ残してしまう可能性が高くなります。食べる人の年齢や性別、食事の量などを考慮せずに、必要以上に食べ物を用意してしまうと、食べ残してしまう可能性が高くなります。
原因②|期限切れになるまで放置する
食べ物の賞味期限切れによる廃棄は、食品ロスの一因です。この原因として、以下のような3点が挙げられます。
- 理由1:事前に冷蔵庫の確認をしないで大量に買ってしまう
- 理由2:賞味期限を確認せずに購入する
- 理由3:間違った保存方法をしてしまう
買い物の前に、冷蔵庫にある食材を把握していないと、同じものを買ってしまう可能性が高くなります。その結果、賞味期限内に食べ切れない食材が増え、廃棄が発生しやすくなります。
また、忙しい時など、商品の賞味期限を確認せずに購入してしまうと、気づいた時には期限切れになっていることがあります。特に、まとめ買いをした場合、個々の商品の賞味期限を確認し忘れる可能性が高くなります。
原因③|過剰に食物を除去する
調理の際に食材を過剰に切り落としてしまうことは、食品ロスにつながる大きな要因の一つです。この原因として、主に以下の2点が挙げられます。
- 原因1: ヘタや芯に近い部分を必要以上に切り落としてしまう。
- 原因2: 皮を厚くむきすぎて、食べられる部分まで取り除いてしまう。
調理方法や食材の可食部に関する知識不足が、このような食品ロスを招いてしまうと考えられます。
家庭でもできる食品(フード)ロス削減への取り組み
- 取り組み①|必要な量だけ買う
- 取り組み②|食品の表示を確認する
- 取り組み③|食べきれる量を作る
取り組み①|必要な量だけ買う
必要な量を買うことで、食品ロスを減らすことができます。
具体的には以下の方法などがあります。
- 方法①|買い物をするときに事前に冷蔵庫を確認する
- 方法②|ばら売りや量り売り、少量パックなどを利用する
- 方法③|空腹時に買い物に行かない
必要以上に買わないことで、環境にもお財布にも優しい生活をすることができます。
取り組み②|食品の表示を確認する
食品の表示を確認することで、食品ロスを減らすことができます。具体的には以下の方法などがあります
- 方法①|商品の保存方法を確認する
- 方法②|期限について確認する
食品についている表示を確認するクセをつけることで、食品ロス削減を目指しましょう。また、賞味期限と消費期限の違いも意識してみましょう。
取り組み③|食べきれる量を作る
食べることのできる量を作ることで、食品ロスを減らすことができます。具体的には以下の方法などがあります。
- 方法①|自分の食べることができる量を知っておくこと
- 方法②|食べる人数や空腹具合などを確認すること
- 方法③|計量カップやスプーンを使って、ピッタリの量を作ること
もし食べきれなかったとしたら、冷蔵・冷凍保存の工夫などを行いましょう!
取り組み④|食材を使い切る
使い切ることを意識することで、食品ロスを減らすことができます。
具体的な方法としては以下などがあります。
- 方法①|残っている食材や賞味期限の近い食材を利用する
- 方法②|皮やへたの部分もうまく使った調理を行う
- 方法③|残った料理はリメイクレシピなどで工夫する
廃棄になりそうな食材を持ち寄った料理会を行うNPOもあるので活用してみましょう。
▼参考
・神奈川県の食育NPO法人MOTTAIが行う廃棄になりそうな食材を持ち寄る料理会「モッタイNight」)
取り組み⑤|冷蔵・冷凍を活用する
冷蔵・冷凍の工夫を行うことで食品ロスを減らすことができます。
具体的な方法としては以下などがあります。
- 方法①|冷蔵庫の並べ方として、期限の近いものを手前におく
- 方法②|期限の近いものは小分けにしてジップロックなどに入れて冷凍する
- 方法③|期限内に食べきれない場合は冷凍する
食品ロスを減らすために、冷蔵庫を整理整頓してみましょう!
まとめ
家庭の食品ロスは、調理時や確認忘れなど身近なところから発生しているのです。そして環境、食料問題、経済など、さまざまな問題を引き起こしています。食品ロスを減らすことは持続可能な社会実現のために必要不可欠です。
一人ひとりの小さな行動が、大きな変化につながります。食品ロス削減に取り組むことで、地球環境を守ることができるのです。
今回ご紹介した対策をもとに、ぜひ食品ロスをご家庭でも始めてもらえたら嬉しいです!