食の課題

規格外野菜とは?デメリットを逆手に取ったビジネスを紹介

食の課題

「規格外」というだけで、まだ食べられる野菜が捨てられてしまうのはもったいないと思いませんか? 実は、この規格外野菜を新たなビジネスチャンスに変え、企業の社会的責任(CSR)を果たせる可能性を秘めているのです。

本記事では、規格外野菜の定義や発生原因、消費者・生産者双方にとってのデメリットを解説します。 しかし、規格外野菜には「味や栄養価は変わらない」「食品ロス削減に貢献できる」といった魅力も。 これらの利点を活かし、規格外野菜のデメリットを逆手に取ったビジネス事例もご紹介します。

この記事でわかること
  • 規格外野菜とは?
  • 規格外野菜のメリット
  • 規格外野菜のデメリット
  • 規格外野菜のデメリットをビジネスに活かしている事例

これらの事例は、企業のイメージアップや新たな顧客層の開拓にもつながるかもしれません。 ぜひ、本記事を参考に、規格外野菜の新たな可能性を探ってみませんか?

この記事を書いた人
岸 はつみ

2000年東京都生まれ。農業ボランティアをきっかけに農業に興味を持ち、大学卒業後は農業法人でイベント及び商品プランニングを経験。元々、規格外野菜によるフードロスに課題感を持っており、2023年に「もったいないを減らして美味しいを増やす」をコンセプトとする「n!cecream」というスイーツブランドを立ち上げる。TVや取材等のメディアからの注目も集めるブランドに成長させている。

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規格外野菜の前提知識

規格外野菜とは、市場で定められた規格に合わない野菜のことです。形や大きさ、色が不揃いだったり、傷がついていたりする場合があります。

規格外野菜について、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

規格外野菜のポイント
  • 市場で定められた規格に合わない野菜のこと
  • 形や大きさ、色が不揃いだったり、傷がついていたりする
  • 味や栄養価は規格品と変わらない

規格外野菜とは?

規格外野菜とは、市場で定められた規格に合わない野菜のことを指します。 具体的には、形や大きさ、色が不揃いだったり、傷がついていたりする野菜が該当します。

市場では、流通や販売の効率化のために、野菜のサイズ、形、色、品質などについて細かい規格基準が設けられています。

これらの基準を満たさない野菜は、規格外とみなされ、市場に出荷されなかったり、安価で取引されたりすることがあります。

規格外野菜とは?
  • 市場で定められた規格に合わない野菜のことを指します。 具体的には、形や大きさ、色が不揃いだったり、傷がついていたりする野菜が該当します。

規格外野菜が生まれる原因「規格基準」

規格外野菜が生まれる主な原因は、市場で定められた規格基準にあります。 野菜のサイズ、形、色、品質などについて細かく定められた基準があり、これらの基準を満たさない野菜は規格外とみなされます。

規格外野菜の消費者目線でのデメリット

「規格外野菜」とは、市場で定められた規格に合わない野菜のことです。 形や大きさ、色が不揃いだったり、傷がついていたりする場合があります。 規格外野菜は、消費者にとっていくつかのデメリットがある場合があります。

規格外野菜の消費者目線でのデメリット
  • デメリット①|見た目が悪い
  • デメリット②|調理しにくい
  • デメリット③|割高になる場合がある

デメリット①|見た目が悪い

規格外野菜は、形や大きさが不揃いであるため、どうしても見た目が悪くなってしまいます。 そのため、贈答用などには適さない場合があります。 また、スーパーマーケットなどでは、見た目が良い野菜が優先的に陳列されるため、規格外野菜は消費者の目に触れにくく、購入機会が減ってしまうこともあります。

規格外野菜の見た目が悪いと感じる理由には、以下のようなものがあります。

  • 形の悪さ
  • 色の悪さ

見た目の悪さは、消費者にとって規格外野菜を購入する際の障壁となることがあります。 しかし、見た目が悪いからといって、味が悪いわけではありません。 むしろ、規格外野菜は、畑で十分に育ったものが多く、栄養価も高い傾向があります。

デメリット②|調理しにくい

規格外野菜は、大きすぎたり小さすぎたりするため、調理がしにくい場合があります。 例えば、大根が大きすぎると、切るのが大変だったり、鍋に入らなかったりすることがあります。 また、人参が小さすぎると、皮をむくのが面倒だったり、料理に使いにくかったりすることがあります。

調理のしにくさは、消費者にとって規格外野菜を購入する際のデメリットとなります。 特に、料理初心者や忙しい人には、調理しやすい野菜が好まれる傾向があります。

デメリット③|割高になる場合がある

規格外野菜は、市場に出回りにくいため、通常の規格品よりも割高になる場合があります。 これは、規格外野菜の流通量が少なく、需要と供給のバランスが崩れているためです。

また、規格外野菜は、市場に出荷できないため、生産者が直接販売したり、道の駅や直売所などで販売したりすることが多く、その場合、流通コストがかかるため、価格が高くなることがあります。

規格外野菜の生産者目線でのデメリット

規格外野菜の取り組み事例
  • 事例①|規格外野菜から生まれる「おやさいクレヨン」
  • 事例②|廃棄を減らして、美味しいを増やすアイスクリーム「n!ce cream(ナイスクリーム)」
  • 事例③|ロスが減る地球に優しい定期便「ロスヘル」
  • 事例④|JTBより誕生した、ロスを減らす缶詰「ロス旅缶」
  • 事例⑤|規格外野菜がキャラクターに⁉「キャラべジ」

デメリット①|生産に費やしたリソースが無駄になる

規格外野菜は、市場に出荷できないため、生産に費やした肥料や水、労力などが無駄になってしまいます。 また、廃棄処分にもコストがかかるため、生産者にとっては大きな損失となります。

規格外野菜の廃棄は、環境問題にもつながります。 廃棄された野菜は、焼却処分されることが多く、その際に二酸化炭素などの温室効果ガスが発生します。 また、野菜の生産には、大量の水やエネルギーが使われており、廃棄されることで、これらの資源も無駄になってしまいます。

デメリット②|生産者の収入が減る可能性がある

規格外野菜は、市場価格が低いため、生産者の収入が減る可能性があります。 特に、規格外野菜の割合が多い場合は、経営に大きな影響を与える可能性があります。

規格外野菜の価格は、規格品よりも安くなることが一般的です。 これは、規格外野菜は、市場に出荷できないため、生産者が直接販売したり、道の駅や直売所などで販売したりすることが多く、その場合、中間業者を通さないため、価格が安くなることがあります。 しかし、規格外野菜の価格は、規格品よりも大幅に安くなるわけではなく、生産者にとっては十分な収入を得られない場合があります。

規格外野菜の良さ3つ

規格外野菜は、市場で定められた規格に合わない野菜のことですが、実は多くの魅力を秘めています。 規格外野菜には、「美味しい」「栄養価が高い」「食品ロス削減に貢献できる」といった3つの大きなメリットがあります。

良さ①|味は規格品とは変わらない

規格外野菜は、形や大きさ、色が不揃いだったり、傷がついていたりする場合がありますが、味は規格品と変わらないか、むしろ美味しい場合があります。 これは、規格外野菜が畑で十分に育ったものが多く、栄養価も高い傾向があるためです。

規格外野菜は、市場に出荷されないため、完熟してから収穫されることが多く、その結果、甘みやうまみが凝縮されています。 また、規格外野菜は、農薬の使用量が少なかったり、有機栽培されたりしている場合もあり、より自然な美味しさを味わうことができます。

良さ②|栄養価が高い

規格外野菜は、規格品よりも栄養価が高い場合があります。 これは、規格外野菜が畑で十分に育ったものが多く、太陽の光をたくさん浴びているためです。 太陽の光を浴びることで、野菜は光合成を行い、ビタミンやミネラルなどの栄養素を生成します。

規格外野菜は、規格品よりも収穫時期が遅いため、より多くの太陽の光を浴びることができます。 その結果、規格品よりも多くの栄養素を蓄えることができるのです。

良さ③|食品ロス削減に貢献できる

規格外野菜を購入することで、食品ロス削減に貢献できます。 まだ食べられるのに廃棄される野菜を減らすことは、環境保護にもつながります。

日本では、年間約612万トンの食品ロスが発生しており、そのうち約275万トンが事業系食品ロスです。 事業系食品ロスとは、食品メーカーや小売店、飲食店などから発生する食品ロスのことです。 規格外野菜は、この事業系食品ロスに含まれており、その量は年間約57万トンと推定されています。

規格外野菜を購入することで、これらの廃棄される野菜を減らすことができます。 また、規格外野菜は、規格品よりも安価で購入できる場合が多いため、家計にも優しいというメリットもあります。

規格外野菜のデメリットを逆手に取ったビジネスを紹介

事例①|規格外野菜から生まれる「おやさいクレヨン」

廃棄寸前のお野菜を活用して作られるクレヨンがあるのをご存じでしょうか?

規格外野菜と米油を使用して作られるのが「おやさいクレヨン」。

万が一子供が誤って口に入れてしまっても大丈夫な安全性を持ちながら、廃棄野菜を減らしているこの製品は日本人のグラフィックデザイナーである木村尚子さんによって生み出されました。原材料が醸し出す色彩やその製品背景から、環境問題を学ぶきっかけにもなる素敵な活用方法ですね。

事例②|廃棄を減らして、美味しいを増やすアイスクリーム「n!ce cream(ナイスクリーム)」

こちらでご紹介するのは、規格外野菜や果物を使用したアイスクリームブランド、「n!ce cream(ナイスクリーム)」。

もったいないを減らし、美味しいを増やすをコンセプトに、材料となる野菜や果物はもちろん、アイスクリームに使用するミルクには過剰搾乳による余剰生乳を使用し、ミルクにおいてももったいないを減らすことを可能にしたサステナブルアイスクリームブランドです。

事例③|ロスが減る地球に優しい定期便「ロスヘル」

全国各地の農家から規格外野菜を調達し、定期便として一般的なスーパーで販売される野菜の価格よりも安価に提供するサービス、「ロスヘル」

規格外野菜の廃棄を減らすという事はもちろん、過剰梱包を減らす取り組みにも尽力しています。リサイクルしやすい段ボールを使用したり、緩衝材には廃段ボールを再利用したもの、ビニール資材を使用するのではなく古新聞を再利用が迫った商品を選ぶ「てま

まとめ

規格外野菜は、市場の規格に合わないというだけで、味や栄養価は規格品と変わりません。 むしろ、規格外野菜には、食品ロス削減に貢献できるという大きなメリットがあります。 規格外野菜を活用したビジネスも増えており、社会全体で食品ロス削減に取り組む機運が高まっています。

規格外野菜についてもっと知りたい方は、食の課題を解決するNPO法人MOTTAIにお問い合わせください。 MOTTAIは、食品ロス削減に関する情報提供や、冷蔵庫で無駄になりそうな食材を活用したイベントなどを開催しています。

プロフィール
この記事を書いた人
岸 はつみ

2000年東京都生まれ。農業ボランティアをきっかけに農業に興味を持ち、大学卒業後は農業法人でイベント及び商品プランニングを経験。元々、規格外野菜によるフードロスに課題感を持っており、2023年に「もったいないを減らして美味しいを増やす」をコンセプトとする「n!cecream」というスイーツブランドを立ち上げる。TVや取材等のメディアからの注目も集めるブランドに成長させている。

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