食の教育

こども食堂が抱える課題|解決策と私たちにできること。

食の教育

「こども食堂」とは、子どもが一人でもいける無料または低額の食堂のこと。家庭の経済状況に関わらず、子どもたちに温かく栄養のある食事と居場所を提供する場であり、地域に根差した活動として注目されています。

しかし子ども食堂の運営には、資金や人材の不足、支援が必要な子どもや親への対応力など、多くの課題が存在しています。

この記事では、こども食堂が直面する課題を具体的に解説し、行政や企業だけでなく、地域住民でもある私たち一人ひとりがすぐにできる支援策を提案します。

この記事でわかること
  • こども食堂が抱える4つの課題
  • こども食堂の課題を解決するための5つの解決策
  • 私たちができる3つの具体的な支援行動
  • 寄付する際の3つの選択肢

また、NPO法人MOTTAIでも「子ども食堂」を開催しています。毎月開催(不定期)していますので、興味を持っていただいた方はぜひご参加ください。支援したいという方、寄付およびボランティアスタッフも随時募集しています。

この記事を書いた人
清水 みなみ

1997年生まれ、千葉県出身。千葉大学教育学部卒。在学中は幼保小の教育環境について学び、実践経験を積むためドイツへオペア留学。卒業後は訪問介護ヘルパーとして従事し、幼少期の教育と食育が高齢期にも大きく影響していることを実感。好きな絵本は「もったいないばあさん」、子ども達のより良い学びと食事の場を提供するべく現在奔走中。

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CSR活動にご興味のある企業担当者様へ
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NPO法人MOTTAIは、大企業をはじめ多くの企業様と連携し、10代、20代の学生を巻き込み、食品ロスや食育に関するイベントを多数実施してまいりました。

私たちの豊富な経験とネットワークを活かし、貴社のCSR活動に貢献できる、若年層向けのイベントをご提案いたします。

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代表の菅田悠介について

こども食堂の現状

近年、注目されるようになってきた子ども食堂ですが、実は地域で食事を提供する活動は、昭和時代後期から存在していました。

当初は独居老人に向けて会食・配食を行う活動が中心でしたが、より核家族化が進み、平成時代半ば頃から貧困による子どもの孤食・欠食(子どもの貧困)にも対応する場が必要とされていました。

「子ども食堂」という名称の始まりは、2012年、東京都大田区にある一軒の八百屋さんでした。その活動は急速に全国へ広がり、2023年時点で約9131ヶ所となっています。

経済的に困難を抱える家庭の子ども達に限られた場だと思われがちな「こども食堂」ですが、実際は「栄養のある食事と温かな団欒」の提供を掲げ、孤食になりがちな子どもたち、虐待を受けている子どもたちなど、様々な(家庭状況の)背景を持つ子どもたちを対象としています。

こども食堂は食事以外にも安心して過ごせる場作りを通して、ボランティアスタッフによる学習支援や遊びの提供など、子どもたちの成長をサポートする多様な活動を行っています。

こども食堂が抱える課題

こども食堂の運営には、以下のような課題があります。

こども食堂が抱える課題
  • 運営資金の確保
  • ボランティアスタッフの確保
  • 必要な子どもへの支援
  • 地域との連携

これらの課題について、詳しく見ていきましょう。

課題①|運営資金の確保

こども食堂の運営には、食材費、光熱費、会場費など、様々な費用がかかります。多くのこども食堂は、寄付や助成金、ボランティアスタッフの持ち寄りなどで運営されていますが、安定的な資金確保は大きな課題です。最近では物価高騰の影響もあり、食材費の高騰は深刻な問題となっています。

課題②|ボランティアスタッフの確保

こども食堂の運営には、調理、配膳、子どもたちの見守りなど、多くの人手が必要です。その為、ボランティアスタッフの確保が必要になります。

しかし、仕事や家庭の事情などで、継続的に活動できるスタッフを確保することは容易ではありません。また、調理の知識を持つスタッフや、子どもたちの心のケアができるスタッフなど、専門的なスキルを持つスタッフの確保も重要となっています。

課題②|必要な子どもへの支援

こども食堂の利用者の中には、経済的な困難だけでなく、虐待やいじめ、学習の遅れなど様々な困難を抱え、支援を必要としている子どもたちがいます。

しかし、こども食堂のスタッフは、必ずしも専門的な知識やスキルを持っているわけではありません。必要な子どもたちに適切な支援を届けるためには、専門機関との連携や、スタッフへの研修などが重要となりますが、実際にそこまで手が行き届いている子ども食堂は多くありません。

こども食堂が抱える課題を解決する方法

▲ NPO法人MOTTAIが主催する子ども食堂の様子

このようにこども食堂が抱える課題は多岐にわたります。これらの課題を解決し、こども食堂が継続的に活動を続け、より多くの子どもたちを支援していくためには、様々な解決策を組み合わせることが重要です。

こども食堂が抱える課題を解決する方法
  • 解決策①|行政からの助成金
  • 解決策②|企業・団体からの寄付
  • 解決策③|学校や行政との連携
  • 解決策④|学生ボランティアの活用
  • 解決策⑤|地域住民への積極的な呼びかけ

解決策①|行政からの助成金

行政からの助成金は、こども食堂の運営資金確保において重要な役割を果たします。国や地方自治体では、こども食堂への月数万円程度の助成制度を設けているケースがあります。これらの制度を活用することで、安定的な運営資金を確保し、食材費や光熱費などの費用を賄うことができます。

例えば、東京都では「こども食堂応援事業」を実施しており、こども食堂の開設や運営に必要な費用の一部を助成しています。また、農林水産省では「子ども食堂を活用したフードバンク活動等支援事業」を実施し、フードバンク団体等を通じてこども食堂に食材を提供する取組を支援しています。

解決策②|企業・団体からの寄付

企業や団体からの寄付も、こども食堂の運営を支える重要な資金源となります。企業によっては、CSR活動(※)の一環としてこども食堂への寄付を行っているケースもあります。また、地域密着型の企業や団体は、地元のこども食堂への支援を通じて、地域貢献活動を行うことができます。

例えば、食品メーカーが自社製品をこども食堂に寄付したり、地元のスーパーマーケットが残った食材を提供したりするなど、企業・団体と連携することで、こども食堂の運営を支えることができます。

実際にMOTTAIでも複数の企業様より寄付・協賛金を支援いただいております。

※CSR活動とは?
  • 企業が社会や環境と共存しながら持続可能な成長を図るため、責任ある行動や説明責任を果たしていくための活動

解決策③|学校や行政との連携

学校や行政との連携は、こども食堂が抱える様々な課題解決に大きく貢献します。学校との連携を通じて、こども食堂の情報を必要とする子どもたちに届けたり、より専門的な学習支援などを提供したりすることができます。また、行政との連携を通じて、助成金の申請手続きをスムーズに進めたり、必要な子どもたちへの支援体制を構築したりすることができます。

例えば、学校内にこども食堂のポスターを掲示したり、学校のホームページでこども食堂の情報を紹介したりすることで、より多くの子どもたちにこども食堂の存在を知ってもらうことができます。

解決策④|学生ボランティアの活用

学生ボランティアの活用は、こども食堂の運営を支えるだけでなく、学生自身にとっても貴重な経験となります。学生は、調理や配膳、子どもたちの見守りなど、様々な活動を通じて、社会貢献活動に参加することができます。また、子どもたちとの交流を通じて、コミュニケーション能力やリーダーシップを養うことができます。

大学や専門学校では、ボランティア活動に参加できる機会を提供しているケースがあります。学生はこれらの機会を通じて、こども食堂の活動を支援することができます。

解決策⑤|地域住民への積極的な呼びかけ

地域住民への積極的な呼びかけは、こども食堂への理解を深め、地域全体でこども食堂を支える体制を築くために重要です。具体的な事例としては、地域のお祭りやイベントなどでこども食堂のブースを出展したり、チラシやポスターを配布したりすることがあります。

また、利用者・ボランティアスタッフとして活動へ参加すること、食材や日用品を寄付することは近隣だからこそ気軽にできます。地域内でこども食堂の情報が口コミなどで広まることによって、活動への理解も進むでしょう。

こども食堂に貢献するために私たちができること

子ども食堂は様々な困難を抱える子どもたちに必要とされている場所です。

だからこそこども食堂が抱える様々な課題を解決し、その活動を支える私たち一人ひとりの積極的な貢献が不可欠です。

こども食堂に貢献するために私たちができること
  • 行動①|ボランティア参加
  • 行動②|食材の寄付
  • 行動③|金銭的な寄付

ここでは誰にでもすぐできる、子ども食堂を支えるための行動を3つご紹介します。

行動①|ボランティア参加

こども食堂の運営は、多くのボランティアスタッフの協力によって支えられています。調理、配膳、子どもたちの見守りなど、あなたの得意分野や興味に合わせて、様々な活動に参加することができます。

具体的な業務としては以下のようなものがあります。

  • 調理:食材の下ごしらえ、調理、盛り付けなど
  • 配膳:食事の配膳、片付け、清掃など
  • 子どもたちの見守り:一緒に遊んだり、話を聞いたり、学習支援など
  • 運営サポート:受付、広報、会計など

もし子ども食堂に参加したいと思ったら、まずはお住まいの地域のこども食堂に直接問い合わせるか、地域のボランティアセンターのHPで紹介されている場合があるのでぜひチェックしてみてください。

MOTTAIでも子ども食堂のボランティアを随時募集しています。お問い合わせフォームよりご連絡ください。

行動②|食材の寄付

子ども食堂の運営費の多くを占めているのが食材費です。その為、こども食堂では安定した食事提供を行う為に、常に食材の寄付を必要としています。余ってしまった野菜や果物、賞味期限が近い食品など、自宅にある食材を提供することで、こども食堂の運営を支援することができます。ただ寄付された食材ですと、品質や衛生面を気にされる方もいらっしゃいます。

それでも寄付食材を使用するのは、コスト削減以上に大切にしたい理由があるからです。こども食堂の運営支援: 食材費の負担を軽減し、より多くの子どもたちに食事を提供することに貢献できます。

また、食材の品質・衛生面については、利用者の方に安心して食べてもらう為、これらの基準を設けています。

もしご家庭のキッチンで使い道に困っている食材がありましたら、お住まいの地域のこども食堂に直接持ち込むか地域のフードバンクを通じて寄付することができます。

実際にMOTTAIでは、家庭の余り食材を持ち寄って誰でも参加できる料理会「モッタイNifght」も毎月開催しています。

行動③|金銭的な寄付

金銭的な寄付は、こども食堂の運営資金として、食材費、光熱費、会場費などに直接活用されます。どんなに少額でも、多くの人の寄付が集まることで、こども食堂の活動を支える資金軸になります。

金銭的寄付を行うメリットとしては以下のようなものがあります。

  • 継続的な支援: 定期的な寄付を通じて、こども食堂の安定的な運営を支えることができます。
  • 柔軟な支援: こども食堂が必要とする活動に、資金を柔軟に活用することができます。
  • 税制優遇: 寄付金控除などの税制優遇を受けることができます。

金銭的な寄付は支援の中でもハードルの低い手段の一つです。

お住まいの地域のこども食堂のウェブサイトや、クラウドファンディングサイトを通じて寄付することができます。MOTTAIの子ども食堂への寄付のご相談はお問い合わせフォームにて承っております。

課題④|地域との連携

こども食堂は、地域との繋がりを提供する重要な役割を果たしていますが、学校や行政などの各機関、もしくは地域住民からの理解や協力が得難い場合があります。

またせっかく開店しても、立地やアクセスの悪さから食堂の存在自体が地域に知られておらず、利用者数が増えないことも。こども食堂が地域に根ざした活動を行うためには、地域住民への広報活動や、行政との連携などがとても重要になります。

こども食堂に貢献するために寄付する先はどこ?

こども食堂への寄付はつまり、「子どもたちの未来を支える力」となります。しかし、寄付をしたいと思ってもどこに寄付すれば良いのか迷う方もいるかもしれません。ここでは、3つの具体的な寄付先を紹介します。

こども食堂に貢献するために私たちができること
  • ①認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ
  • ②認定NPO法人カタリバ
  • ③子ども食堂サポートセンター

①認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ

https://x.gd/gTJWU

「認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ」は、全国のこども食堂を支援する団体です。

活動内容は、以下の通りです。

  • こども食堂の運営相談
  • 運営ノウハウの共有
  • 政策提言・調査研究

寄付金によるむすびえへの支援は、全国規模でこども食堂を応援することができる、こども食堂の運営基盤強化に繋がる、寄付金控除の対象となるといった点であなたにメリットがあります。寄付方法は、銀行振込、クレジットカード決済、オンライン決済など選択が可能です。

②認定NPO法人カタリバ

https://x.gd/oATKi

「認定NPO法人カタリバ​」​は4つのテーマを掲げてサービスを開発しながら、学校に多様な出会いと学びの機会を届け、社会に10代の居場所と出番をつくることを目指した活動を全国的に行っている団体です。無料の放課後教室で、子どもの居場所づくりや学習支援を行っています。

その活動の中には夕食を提供する活動も含まれます。定額の寄付には、税制優遇制度も適用されます。

③子ども食堂サポートセンター

Screenshot

こども食堂の取り組みがよりよいかたちで全国に広がっていくことを目指して、一般社団法人全国食支援活動協会による「広がれ、こども食堂の輪!」推進会議が立ち上げたプロジェクト。全国各地​で​子ども・食・居場所にかかわる人・団体を巻き込む研修会「食でつながるフェスタ」を開催するなど、​​「子ども支援」という大きな目的を共有​した​横断的なネットワークを目指し活動しています。

「Yahoo!ネット募金」から手軽に寄付することができます。

​​お住まいの地域の社会福祉協議会

地域の社会福祉協議会は、地域福祉の推進を担う団体です。活動内容は、以下の通りです。

  • 地域の福祉ニーズの把握
  • 福祉サービスの提供
  • ボランティア活動の推進
  • 地域住民への相談支援

社会福祉協議会への寄付は、お住まいの地域のこども食堂を直接支援することができる、地域のニーズに合った支援活動に繋がる、寄付金控除の対象となる場合がある点でメリットがあります。

(参考)東京都社会福祉協議会関連 https://www.tcsw.tvac.or.jp/

※寄付方法については、各市区町村の社会福祉協議会によって異なるため、直接問い合わせが必要です。

お近くのこども食堂

お近くのこども食堂に直接寄付することも可能です。寄付金や物資をダイレクトに届けることができ、こども食堂の運営状況を自分の目で確認することができます。

食堂の主催者と顔が見える関係を築けることもあなたの安心に繋がるでしょう。子ども食堂の開催情報は、「子ども食堂ネットワーク」より確認することができます。

ぜひお近くの子ども食堂を探してみてください。

子ども食堂ネットワーク

http://kodomoshokudou-network.com/

寄付方法は、各こども食堂によって異なるため、直接問い合わせが必要です。

寄付を通して、より身近な場所で子どもたちを支援することができます。

まとめ|あなたの行動が、こども食堂を支える力に

子ども食堂を支援するには様々な形があります。

こども食堂へのあなたの行動が、様々な状況で困難を抱える子どもたちを支援し、地域社会に貢献するための力になります。

あなたの行動が、こども食堂の運営を支え、子どもたちの笑顔と未来を育む力となります。

ぜひ、自分に合った方法でこども食堂への支援を検討してみてください。

プロフィール
この記事を書いた人
清水 みなみ

1997年生まれ、千葉県出身。千葉大学教育学部卒。在学中は幼保小の教育環境について学び、実践経験を積むためドイツへオペア留学。卒業後は訪問介護ヘルパーとして従事し、幼少期の教育と食育が高齢期にも大きく影響していることを実感。好きな絵本は「もったいないばあさん」、子ども達のより良い学びと食事の場を提供するべく現在奔走中。

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