日本国内でも環境問題や社会問題への関心が高まる中、「ESG投資」という概念が今注目されています。
しかし、日本ではまだまだその認知度が低いのが現状です。
この記事では、ESG投資が現在注目されているその理由と、投資としてのメリット、現在抱えている問題点をご紹介し、環境や社会問題、ESG投資に関心を持ち始めた方へ向けて、わかりやすく解説します。
- ESG投資とは
- 現在注目されている理由
- ESG投資を行うための7つの方法
- 投資する側のメリット
- ESG投資が抱える問題点
ESG投資とは?

ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を考慮して行う投資のことです。
近年、気候変動や社会問題への関心の高まりとともに、企業の非財務情報であるESGに関する評価が重視されるようになってきました。
ESG投資では、これらの要素を総合的に評価し、長期的に持続可能な成長が期待できる企業に投資を行います。

ESG投資の3つの要素である環境、社会、ガバナンスは、それぞれ企業が取り組むべき重要な課題を表しています。
環境面では、温室効果ガス削減や資源の有効活用などが挙げられます。
社会面では、従業員の多様性や人権尊重、地域社会への貢献などが挙げられます。
ガバナンス面では、企業の透明性や倫理的な経営などが挙げられます。
ESG投資が現在注目されている理由

様々な業界・企業から注目されているESG投資ですが、なぜここまで重要視されるのでしょうか。
ここでは世界中で新たなトレンドになりつつあるESG投資について、そのメリットを踏まえ、まさに今注目されている理由を解説していきます。
理由①|持続可能な社会の実現
理由②|企業価値の向上
理由③|長期的なリターン
理由①|持続可能な社会の実現
世界中で気候変動や貧困、人権問題など、様々な社会問題が深刻化しています。ESG投資は、環境負荷を低減し、社会貢献を行うような持続再生可能なビジネスモデルを持つ企業を支援するもの。これらの企業に投資することで、社会問題の解決に貢献するプロジェクトの創出、ビジネスモデルの育成に寄与し、持続可能な社会の実現を目指します。
理由②|企業価値の向上
ESGに配慮した企業は、長期的な視点で企業価値を高める可能性が高いと考えられています。消費者の意識が変化し、ESGを重視する企業の製品やサービスを選ぶ人が増えているからです。
理由③|長期的なリターン
ESG投資は、短期的な視点ではなく、長期的な視点で安定したリターンを得ることを目指します。ESGに配慮した企業は、リスク管理が徹底されている傾向があり、長期的な安定成長が見込める可能性があります。
これらの理由から、ESG投資は持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みとして世界的に注目されています。さらに、SDGs(国連が掲げる持続可能な開発目標)とも、実は深く関連しているのです。
このように単なる投資手段ではなく、より良い社会を創るための重要な取り組みの一つとして、ますます注目を集めています。
ESG投資を行うための7つの方法

ESG投資は、従来の株式投資と同様に、個人投資家から大企業まで、様々な立場の方が取り組むことができます。ここでは具体的に、投資方法の種類を見ていきましょう。
方法①|個別株への投資
方法②|投資信託への投資
方法③|ESG年金への加入
方法④|コミュニティ・インベストメント
方法⑤|ソーシャル・インパクト・ボンド
方法⑥|マイクロファイナンス
方法⑦|ベンチャーキャピタル
方法①|個別株への投資
特定の企業の将来性を信じて、その企業の株式を購入することができます。ESG投資の場合、企業のコーポレートサイトやESG評価機関のウェブサイトを確認し、よりESG評価の高い個別企業の株式を購入します。
方法②|投資信託への投資
投資信託はプロに運用を任せることができる投資方法です。複数の企業へ分散投資ができる上、プロの知見を借りて、効率的に資産運用ができ、安定的なリターンを目指すことができます。ESG投資をしたい場合、プロにESGを重視した銘柄を提案してもらうことができます。
方法③|ESG年金への加入
投資型の年金というと、一般的に「企業年金」「確定拠出年金(iDeCo)」の二つが代表されます。こうした年金基金への加入時に、ESGオプションを選ぶことでESG投資を始めることができます。

方法④|コミュニティ・インベストメント
コミュニティ・インベストメントとは、地域社会の活性化を目的とした投資のことです。地域メディアやクラウドファンディングサイトを通して、地域社会の発展に貢献する企業やプロジェクトを探すことができます。ただし、大企業と比較して、リスクが高く公表されている情報が少ない場合も多いです。時間をかけて情報収集を行い、時には専門家のアドバイスを受けることも重要です。
方法⑤|ソーシャル・インパクト・ボンド
ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)は、社会問題の解決を目的として、公共機関と民間企業・団体が協働し行う新しい仕組みです。民間資金を活用し、社会的な成果を達成した場合にのみ報酬が支払われるという、成果報酬型の仕組みが特徴です。
方法⑥|マイクロファイナンス
発展途上国を中心に、貧困層や低所得者に対して、少額の融資や貯蓄、保険などの金融サービスを提供する活動のことを指します。特に、小規模な事業を営む人々や、銀行口座を持たない人々を対象としています。
方法⑦|ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは、将来性のある未上場企業(ベンチャー企業)に投資を行う投資会社のことです。具体的には、資金だけでなく、経営ノウハウや人脈といった様々な形で投資先の企業を支援します。

ESG投資を行う投資側のメリットとは?
ESG投資を行うことは、企業だけでなく投資家自身にも様々なメリットがあります。
メリット1|長期的なリターンとリスク軽減
メリット2|社会貢献
メリット3|多様な選択肢
メリット1|長期的なリターンとリスク軽減
ESGを重視する企業は、長期的な視点で持続可能なビジネスモデルを構築している傾向があります。環境問題や社会問題に対応し、変化に対応できる企業は、長期的に安定した成長が見込めるため、同様に安定的なリターンを期待できます。また、ESGに配慮した企業は、リスク管理が徹底されている傾向があり、リスク軽減にもつながります。

メリット2|社会貢献
ESG投資を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
またESG投資を行っていることを公表することで、投資家や顧客からの信頼を高め、ブランドイメージを向上させることができます。

メリット3|多様な選択肢
ESG投資には、様々な投資方法があり、例えばどのくらいの配分でどの銘柄を投資するかといったポートフォリオに組み込むことでリスク分散効果が期待できます。投資家自身の価値観やリスク許容度に合わせて、多様な選択肢の中から選択することができます。

ESG投資の現在抱える問題点
社会的貢献度も高く、投資家自身にもメリットの多いESG投資ですが、新しい概念であるため、その問題点も多く存在しています。
問題点1|データの信頼性
問題点2|定量化の難しさ
問題点3|グリーンウォッシュのリスク
問題点1|データの信頼性
ESG評価は、企業が自主的に開示する情報に基づいて行われることが多いです。しかし、企業は自社のイメージ向上のため、都合の良い情報のみを開示する可能性があります。また、評価機関によって評価基準が異なり、一貫性がないことも問題点として挙げられます。
問題点2|定量化の難しさ
環境や社会への貢献度を数値化することは非常に難しく、定量的な評価が難しいという点が課題です。特に、長期的な視点で評価すべき環境問題などは、短期的な数値では測りきれない側面があります。
問題点3|グリーンウォッシュのリスク
グリーンウォッシュとは、環境に優しいイメージを偽って宣伝する行為を指します。ESG投資においては、企業がESGに配慮しているように見せかけることで、投資家を引きつけようとするケースも存在します。投資家は、企業のESGに関する取り組みをしっかりと検証する必要があります。
ESG投資先として有名な企業銘柄を4つ紹介
企業例①|ユニ・チャーム
衛生用品メーカーとして、環境負荷低減に取り組んでいます。

企業例②|アサヒグループホールディングス
食品・飲料メーカーとして、サステナブルな原料調達や水資源の保全に取り組んでいます。

企業例③|ネスレ
世界的な食品メーカーとして、持続可能な農業や人権問題に取り組んでいます。

企業例④|ナイキ
スポーツ用品メーカーとして、サプライチェーンにおける労働環境改善や環境負荷低減に取り組んでいます。

ナイキ|サステナビリティへの取り組み。Move to Zero – Nike
まとめ
ESG投資って、なんだか難しそうだけど、実は私たちの未来に関わる、とても大切な投資なのです。環境問題や社会問題が深刻化する中、「自分にも何かできることはないかな?」と思っている方も多いはず。
ESG投資は、地球にも自分にも優しい、そして未来への投資です。 まだよくわからないという人も、まずは一歩踏み出してみませんか?
