食と社会

SDGsに取り組む会社の事例10選|会社で取り組むメリットを紹介!

食と社会

2015年9月、国連サミットで加盟国の全会一致を得て採択された「持続可能な開発目標(以下、SDGs:Sustainable Development Goals)」。

なぜ今、多くの企業がSDGsに注目し、安くはないコストを投じてまで、積極的に取り組まれているのでしょうか?実は企業の社会的責任を果たすことは、単なる善意だけでは片付けられない、とても重要な「経営戦略」に繋がっています

本記事では、企業がSDGsに取り組むことで得られるメリット、具体的には企業イメージ向上、新たな事業機会の創出、そして持続可能な成長の実現について深掘りしていきます。

この記事を書いた人
清水 みなみ

1997年生まれ、千葉県出身。千葉大学教育学部卒。在学中は幼保小の教育環境について学び、実践経験を積むためドイツへオペア留学。卒業後は訪問介護ヘルパーとして従事し、幼少期の教育と食育が高齢期にも大きく影響していることを実感。好きな絵本は「もったいないばあさん」、子ども達のより良い学びと食事の場を提供するべく現在奔走中。

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企業がSDGsに取り組む理由

年々SDGsの認知が高まる中、企業がSDGsに取り組むことのメリットも同時に知られるようになってきました。その理由は多岐にわたりますが、主に以下3点の影響が大きいと考えられます。

企業イメージ(ブランディング)の向上

企業は地球環境や人間社会の上に成り立っているものであるという認識から、社会的責任(CSR)を果たすために行動すべきであるとされ、その事業の内容や透明性は常に顧客に注目されていると言えます。

SDGsに取り組むことで、社会貢献に積極的に取り組んでいるというポジティブなイメージを顧客である消費者や投資家から得ることができます。これは、ブランドイメージの向上や、優秀な人材の確保にもつながります。

事業機会の創出

ただ単に社会課題の解決に取り組むということであれば、企業にとってコストの負担になるようなイメージがあるかもしれません。
しかし実際はSDGsを達成を目指すことは、新たな製品・サービスなどのビジネスモデルの開拓、より高度な技術の向上・開発を可能にします。
こうしてSDGsに関連する事業に参入すること自体が、企業の新たな収益源を創出に繋がっていくのです。

持続可能な成長の実現

SDGsに取り組むことは、ブランディングや事業計画に影響するだけでなく、外部企業とのやり取りにおいてもいくつかのメリットが考えられます。SDGsへの取り組みを重視する企業から取引先として注目される資金調達で有利に働く共同事業等のビジネスチャンスを創出するなどの可能性が考えられるでしょう。こうしてSDGsに取り組むことは社会との共存共栄を実現し、その企業が停滞せず、より持続可能な成長を望むことができます。

食品系企業がSDGsに取り組む重要性

食品産業は、食料の生産から消費までの過程で、環境や社会に大きな影響を与えています。食品系企業がSDGsに取り組むことは、以下の点で重要です。

コスト削減

食品ロス削減には、原材料の効率的な資源管理や作業工程の自動化、従業員への教育、供給業者との関係強化などが重要になります。こういった基本原則を押さえたシステムを構築することによって、生産性と品質の安定化につながり、結果的にコスト削減につながっていくケースが多いです。

認知度・企業イメージの向上

SDGsは消費者にとっても注目度の高いテーマであり、SDGsに配慮した製品やサービスを求める声は一層高まっています。SDGsに関連する事業に取り組むことで、企業は消費者の共感を呼び起こし、ブランドイメージを向上させることができます

食品を安定供給する責任

食品産業は、人々の生活を支える基盤となる産業です。気候変動や資源の枯渇など喫緊の課題に対応するため、食品産業はSDGsの目標達成に向けてスピード感を持って積極的に取り組む必要があります。

取り組み事例①農業

農業分野では、地球の環境負荷低減、雇用創出、開発途上国の現地支援などにおいて、各社の企業力を活かした多様な取り組みが進められています。

事例1|イノチオホールディングス株式会社

イノチオホールディングス株式会社は1950年創業の農業用施設や栽培システム、品種開発、販売のコンサルティングなどを行う農業総合支援企業です。SDGsに関しては長年にわたり積み重ねてきた自社ノウハウと経験を活かし、2020年度から経営方針に取り入れるなど、かなり積極的に取り組んでいます。

・アジアGAPの認証取得および取得支援
・ペットボトルのリサイクル樹脂を活用した「なつみスクリーン」の開発
・アジア圏の農場経営支援、現地雇用の創出

イノチオホールディングスは創業110年以上の企業力と「世のため人のために尽くす」という創業精神のもと、農業支援の立場から、SDGsの目指す持続可能な社会の実現に貢献しています。

イノチオグループ | 農業総合支援・農業用温室・ビニールハウス …

事例2|株式会社クボタ

株式会社クボタは1890年創業の大手製造メーカーです。農業をはじめとする産業機械を国内外に出荷しています。現場主義を第一とした企業力を活かし、農業業界における世界的な課題である「農家の高齢化」「人手不足」と向き合い、食料の安定生産と農作業の効率化させる技術を世界各地へ提供しています

・再生可能エネルギーの使用拡大
・廃棄物の適切な管理およびリスク管理の徹底
・開発途上国等の水道インフラの改善   等

これらの株式会社クボタの取り組みは、持続可能な農業を実現する社会づくりに貢献しています。

株式会社クボタ

事例3|JAグループ

JAグループ(全農)は、日本の農業者によって組織された農業共同組合です。2019年3月に第28回JA全国大会において、SDGsに関する取り組み事項として、国際的な連携や積極的な情報発信を進めることを決議し、2020年5月には自社独自のSDGs取組宣言を策定しています

・JAとの連携による移動購買車
・農業施設を利用した「太陽光発電支援事業」
・農業労働力支援による雇用創出

JAグループは「食と農を基軸として地域に根差した協同組合」を目指し、持続可能な地域農業・地域社会づくりに貢献しています。

SDGsに貢献する取り組み – JA全農

取り組み事例②流通・販売

流通・販売分野では、食品ロス削減、フェアトレード、環境負荷低減など、多角的な視点からSDGsに取り組んでいます。

事例4|SGホールディングス株式会社

SGホールディングス株式会社は佐川急便を代表とする宅配事業を扱う企業です。国内トップクラスの宅配サービスのシェアを誇り、多彩な事業・社内活動等で、SDGs目標の実現に向けた取り組みを行っています。

・貨客混載事業 貨物と人の相乗りによって輸配送の効率化
・物流インフラの拡充
・再生ポリエステルを使用したユニフォームの採用

他にも職員の雇用や安全、森林環境に配慮したプロジェクトなど、幅広い取り組みを実施しています。

【佐川急便】SDGsへの取り組み|サステナビリティ

事例5|日本通運株式会社

日本通運株式会社は郵便や貨物輸送、引っ越し事業等まで行う総合物流企業です。物流の新たな価値の創造を求め、国内外の物流業界の発展に貢献しています。

・誰にもやさしい倉庫プロジェクト
・倉庫作業分析ツールの開発・提供
・国内外の有望なスタートアップとの事業共創

日本通運株式会社ではSDGsだけでなく、カーボンニュートラル社会の実現も目指し、多種多様なプロジェクトを展開しています

NXグループ サステナビリティ方針・ビジョン

事例6|日本フルーツ株式会社

日本フルーツ株式会社は2022年に設立された熊本県にある地元企業や自治体へ農産物の供給を行う企業です。熊本の豊かな土壌で育った新鮮な野菜果物を、ふるさと納税の取り組みを通して、各所へ提供しています。

・事業活動における地域活性への貢献
・事業活動における地域資源の活用
・間伐材を利用した梱包材の導入

日本フルーツ会社では主事業を通して、地元である熊本県の持続可能な社会づくりに貢献しています。

SDGs – 日本フルーツ株式会社 – NipponFruit Co.,Ltd.

取り組み事例|③広告・教育産業

広告・教育産業では、消費者への情報発信、従業員の意識改革、そして次世代への教育など、多岐にわたる取り組みを行っています。

事例7|株式会社フジクリエイティブセンター

株式会社フジクリエイティブセンターは新潟県にある創業50年の広告代理店事業者です。「誰かのために、みんなで、動く。みんなで、取り組む。」をモットーにSDGsに関わる活動に積極的に取り組んでいます

・にいがたクールサマーキャンペーン
・ハッピー・パートナー企業認定
・中学校の総合学習支援

株式会社フジクリエイティブセンターでは、広告代理店の機能を活かした様々な企画を提案・実施しています。

株式会社フジ・クリエイティブセンター|新潟の広告代理店 TVCM …

事例8|株式会社博報堂

株式会社博報堂はマーケティング・クリエイティブ・PR・コンサルティングなど、幅広い事業を扱う広告代理店です。クリエイティビティと熱意を持って助け合う「チーム」の力を活かし、広告代理店ならではのSDGs普及啓発活動を行っています。

・国連クリエイティブボランティア
・気候変動アクションガイド
・コーポレート価値創造プログラム

株式会社博報堂では自社スタッフの持つ、クリエイティビティ、多様なビジョン、知見と技術をSDGs目標の実現のために集結させ、「博報堂DYグループ SDGs Initiatives(SDGsへの取り組み)」にて随時紹介をしています。

SDGs Initiatives(SDGsへの取り組み) 

事例9|株式会社ベネッセコーポレーション

株式会社ベネッセコーポレーションは通信教育・出版などを行う企業です。主に教育・語学・生活・福祉分野に関わる商品・サービスを扱っています。人の生涯に寄り添ってきた事業経験や自社製品を活かし、SDGs目標の実現に向け、ライフステージに沿った取り組みを行っています。

・幼児向けのSDGs教材の提供(動画・番組・WEBサイト)
・SDGsアイデアシート
・たまひよと作る子どものミライ

株式会社ベネッセコーポレーションの多彩な企画は、同社HPにて詳しく紹介されています。

SDGsとは? | サステナブルな社会へ from Benesse(よく生きる)

他にも!ユニークな取り組みをご紹介

事例10|食べられるスプーン(株式会社勤労食)

企業の食堂運営を行う株式会社勤労食では、食べられるスプーン「PACOON」の開発を行っています。食事に欠かせない栄養と楽しさを、食堂でお会いできない皆様にもお届けしたいと開発されたそう。

PACOONには、プラスチックへの意識と環境保護の大切さを、日々の生活の中で自然に感じるきっかけになればという想いが込められています。

PACOON(パクーン):国産野菜でできた食べられるスプーン

NPO法人MOTTAI

私たちNPO法人MOTTAIでは当たり前の裏側にアクセスしやすい社会を創る」をモットーに、「食べること」に特化した活動を行っています

・罠オーナー制度
市民オーナーが罠の狩猟にかかる資金などを提供し、見返りとして狩猟や農業体験などをオーナーに提供するという仕組み。獣害対策、関係人口増加、環境教育の機会増加、猟師の負担軽減などが見込んでいる活動。



・MOTTAIナイト

「もったいないの精神で地球にちょこっと恩返し」をコンセプトに始まった、お店で出るような廃棄になりそうな食材やみんなで食べ物を持ち寄った食材を使って行われる料理会。

・子ども食堂
小田原市のイタリアンバルにて、子どもや親子の方、地域の皆様へ美味しい食事を無料提供。2024年8月に初開催。

NPO法人 MOTTAI

「食べる」の裏側にある、動植物の命、農家さんをはじめとする生産者の思い、そしてその食材を運んでくる人、料理してくれる人、たくさんの方々が関わっています。
SDGsの掲げる目標の実現だけでなく、もっと等身大の、誰しもが「食」について「誰一人残さない」持続可能な取り組みを考えるきっかけを持つことができる活動を行っています。

食品業界のSDGsへの取り組みが拓く未来

こうした企業の取り組みは、企業の収益性向上だけでなく、社会全体の持続可能な発展にも貢献しています。食品ロス削減や環境負荷低減といった課題解決に、企業が積極的に取り組むことで、より良い未来を築くことができるでしょう。

さらに企業のSDGsへ取り組む姿勢は、社会全体をより良い方向へと導く力を持っています。
加えて、私たち一人ひとりが、企業の取り組みを応援し、自分自身もSDGsの目標達成に向けて行動することも持続可能な社会の実現に向けてとても重要です。

プロフィール
この記事を書いた人
清水 みなみ

1997年生まれ、千葉県出身。千葉大学教育学部卒。在学中は幼保小の教育環境について学び、実践経験を積むためドイツへオペア留学。卒業後は訪問介護ヘルパーとして従事し、幼少期の教育と食育が高齢期にも大きく影響していることを実感。好きな絵本は「もったいないばあさん」、子ども達のより良い学びと食事の場を提供するべく現在奔走中。

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